プーチン大統領は、クリミアを併合することによってロシアに対する国際的非難が強まることを十分認識している。しかし、クリミアはロシアとの結びつきが強いという歴史的経緯、クリミア住民の大多数が実際にロシアへの編入を望んでいるという事実、また、ウクライナにクリミアを奪還する軍事力がないこと、さらには米国が軍事的にウクライナを支援する余裕がないと、プーチン大統領は総合的に判断し、クリミア併合を国際社会は最終的に受け入れざるを得なくなるとみているのであろう。それだから、プーチン大統領は、「現在、ヒステリーをやめ、『冷戦』のレトリックを拒否し、明白な事柄を承認する必要がある。ロシアは、国際関係の自立した、積極的な参加者だ。他の諸国と同様にロシアには、考慮せねばならず、尊重しなくてはならない国益がある」と述べたのだ。
「考慮せねばならず、尊重しなくてはならない国益」のためには、近隣諸国の領土を併合しても構わないというのは、典型的な帝国主義者の発想だ。ウクライナ危機をきっかけに国際社会は帝国主義的傾向を一層強めた。