文遊社の『鈴木いづみコレクション』全8冊はすべて荒木経惟(のぶよし)のモノクローム写真で飾られた。自殺して10年目の刊行だった。みんなが『鈴木いづみが還ってきた!」と感じた(小森康仁さん撮影、松岡正剛事務所提供)【拡大】
【KEY BOOK】『鈴木いづみコレクション』5・6(文遊社/1835円・1995円)
5『いつだってティータイム』(解説・松浦理英子)と6の『愛するあなた』(解説・青山由来)は、今日の女性たちに必読肝要効能抜群の2冊のエッセイ集。鈴木は毒舌の切れ味で知られてきたようだけれど、実際には直截にナイーブな感情を言葉にすることができる希有な人だった。これは少女マンガを男が描けないのと同様、男にはゼッタイできない芸当なのだ。ちなみに鈴木はアタマの悪い男、教養から見放された女の、両方が嫌いだった。
【KEY BOOK】『鈴木いづみコレクション』7・8(文遊社/1835円・1995円)
7『いづみの映画私史』(解説・本城美音子)は映画や俳優のことを綴っているようでいて、時代社会を切り捨てていくエッセイで満ちている。8『男のヒットパレード』(解説・吉澤芳高)はビートたけし・岸田秀・嵐山光三郎・近田春夫らの男たちとの対話が中心。なかでも阿部薫についてのエッセイ、切断した左足の小指をめぐって佐藤愛子がその理由に迫る対話、15歳のときの詩などが読ませる。いや、何でも読みはじめると止められない。黙示録なのだ。(編集工学研究所所長・イシス編集学校校長 松岡正剛/撮影:フォトグラファー 小森康仁/SANKEI EXPRESS)