【メジャースカウトの春夏秋冬】恩師であるローイ・カーピンジャー氏(左)と大屋博行氏(アトランタ・ブレーブスの国際スカウト駐日担当)=1月18日、米国(大屋博行さん提供)【拡大】
理由としては、打者の手元で鋭く落ちるスプリットが一級品なことに加え、闘志を前面に出しながら投げるスタイルも、アメリカ人好みだった。
水面下での獲得合戦は夏には始まっていたのではないか。昨年(2013年)8月には、あくまで噂話だが、「田中投手はある米球団と懇意にしており、すでに下交渉もしている」という怪情報まで流れた。もちろん、実際にそうした証拠があるわけではなく、思惑の絡んだ関係者同士が揺さぶりをかけ合うために流している可能性が高い。
否定的な声も、スカウト仲間からチラホラ聞いた。WBCでメジャー球への対応に苦慮した点を挙げたり、「田中投手は150キロ中盤の球速をマークしているが、棒球に近い」というふうに話す関係者もいた。
実際に10球団が獲得に関心があったということは、残る20球団が見送ったことにもなる。ただ、そこには獲得資金の問題などもあり、ネガティブな声もさまざまな思惑が絡んでいるケースがあり、うのみにはできない。田中投手の獲得合戦が熾烈(しれつ)を極めたことからも裏付けられる。