モディリアーニは、ポーズをとるルニアに自分の夢を話した。ルニアは「モディリアーニの夢は素朴でありながら、心を打つものでした。それはイタリアで母親のそばで暮らすことでした。自分のそばに娘を置いて、食堂のある家を持って、多くのふつうの人と同じように暮らすことだったのです」と回想している。
回想からは、芸術の坩堝(るつぼ)エコール・ド・パリで成功を目指して戦う気鋭の画家というより、故郷を愛する、ほのぼのとした人間像が浮かび上がる。
酒や麻薬にとりつかれ
モディリアーニといえば、「悲劇の画家」「呪われた画家」として語りつがれてきた。思い浮かぶのは、映画「モンパルナスの灯」(1958年、フランス、ジャック・ベッケル監督)だ。
モディリアーニ役のジェラール・フィリップは、酒代のためカフェで素描を売り歩く。ジャンヌ(アヌーク・エーメ)と結婚してからも絵は売れず、貧困の中で病魔に侵され、ついに街頭で倒れる。
「彼(モディリアーニ)は飲み過ぎる。長いことはあるまい。(死んだ)その日に全部(作品を)買う」。そう話していた冷酷な画商モレル(リノ・ヴァンチュラ)は、警察病院でモディリアーノの死を確認すると、まだ夫の死を知らないジャンヌのもとに馬車を飛ばす。「(絵が売れて)主人も喜ぶでしょう」と話すジャンヌを尻目に、モレルが次々と作品を買い占める場面で映画は終わる。