避難勧告対象が約6000世帯約1万2000人に上った岩手県釜石市。防災担当者は「震災以前なら注意報段階では『避難準備情報』だったが、危機意識を高めて対応した」と話す。3年前の被害で地盤が沈下し、堤防などの防災施設も復旧していないため、当時の浸水域全体に幅広く勧告を出した。
2日午後8時15分には、3日午前3時の津波注意報発令に備えていち早く8カ所の避難所を開設した。しかし、避難所に入った人は最大52人(午後1時まで)にとどまった。
担当者は「高台の親類宅に行く人もいたようなので、単純に少なかったとは考えていない。震源が遠いので住民は津波をイメージしづらかったかもしれないが、早期に呼びかけたことで注意してくれたと思う」と話す。
釜石市の仮設住宅に住む男性(82)は「やはり震災を思いだす。朝には地震もあって、びっくりした。気が抜けない1日だった」と振り返った。
30センチの津波を記録した岩手県宮古市の仮設住宅に住む主婦、中嶋光代さん(48)は「仮設住宅は高台にあり、津波の心配はないので避難所には行かなかった」と話す。それでも、「用心に越したことはない」と防災バッグや水などを手元に用意していた。