政府は3月28日、南海トラフ巨大地震対策の基本方針となる「防災対策推進基本計画」を決めた。津波対策や建物の耐震化などを進め、最悪で30万人以上と想定される死者数を今後10年で8割減らす目標を明記した。全壊・焼失建物数は半減させる。対策を強化する「防災対策推進地域」に29都府県の707市町村を指定し、このうち深刻な津波被害が懸念される14都県の139市町村を、避難施設整備に対する国の補助が拡充される「津波避難対策特別強化地域」とした。
安倍晋三首相は28日、政府の中央防災会議で「大規模災害から国民の生命、財産を守るため、引き続き緊張感を持って防災対策に万全を期す。政府一丸となり、スピード感を持って進めたい」と強調した。各自治体は今後、具体的な対策を示した計画を作成、国と一体となった取り組みが本格化する。ただ財政が厳しい中、避難施設整備や高台移転が進むかどうかは不透明で、住民の避難意識の向上などソフト面の対策が求められそうだ。
今回の減災目標設定に当たっては、前提となる想定を死者33万2000人、全壊・焼失建物250万棟とした。広範囲で最大震度の揺れが襲うと仮定したため、政府が2012年に公表した被害想定を上回る数値となっている。