≪お年寄りを助け津波にのまれた高校生≫
東日本大震災の被災地は3月11日、発生から3年を迎えた。月日は流れたが、遺族の悲しみが消えるわけではない。
時折、あふれる涙を拭った。お年寄りの避難を助け、津波にのまれた福島県いわき市の高校2年、工藤盛人(もりと)さん=当時(17)。父の功さん(54)と母の弥生さん(50)の両親は11日、いわき市豊間地区の追悼式で花を手向けた。
子供の頃は体が弱かった盛人さん。功さんは小学生の息子が台風で打ち寄せる大波を見て「津波が来たらどうする?」と尋ねられた場面を忘れられない。「ここは来ないから心配いらね」と答えたことを、今もずっと後悔している。
震災後、がれきの中から出てきた小学2年時の文集には「自分の家のことまもります」と書いてあった。
「家が大好きだったんです。高校卒業後の進路も、自宅から通えるところがいいと話していました」
弥生さんが目元を拭う。ボランティアが見つけてくれたり、友人たちが持ってきてくれたりした写真で新たに作ったアルバムを繰りながら、功さんが絞り出した。
「盛人…おろかな親で、ごめん」