もう10年近く前になるが、苦々しい経験がある。
まだ巨人に在籍していた時代。ポスティングシステム(入札制度)による米大リーグ挑戦を訴えたときのことだ。球団の「NO」という姿勢以上に、世間から「わがまま」というような非難を浴びたことがあった。
今季、楽天から田中将大(まさひろ)投手がヤンキースに移籍した。ポスティングシステムによるものだった。オフの時期は日本に帰国していたので、日本中が応援ムードに包まれていたのを知っている。マサ(田中投手)の挑戦がどうこうというのではなく、世間の“空気”に対して、自分の中で納得できない部分がぬぐい去れなかった。
「なんなんやろうか、入札制度って」。この制度について聞かれることがよくあるが、自分の中ではいまだに答えが出せないでいる。
昨年(2013年)末には、従来の最高入札額の1球団のみが交渉権を得られる仕組みから、約20億円を上限に入札した全球団に門戸が開かれる制度に変更された。