【KEY BOOK】「布と人間」(アネット・ワイナー&ジェーン・シュナイダー著、佐野敏行訳/ドメス出版、7560円、在庫なし)
布と文明、布と社会、布と人間、布と女性のかかわりを多面的に検討した定番の「布文化」研究書。編者は2人とも女性の文化人類学者。ジャワやバリの布(バティック)にも目が注がれている。「裸のサル」であった人間が布を身に纏ったのは、気候の寒暖から生活を守るためではなかった。色や文様のついた布は装飾であり、呪力であり、権威であり、美しさをあらわした。布は文化力なのである。
【KEY BOOK】「布のちから」(田中優子著/朝日新聞出版、2052円)
歴史の中の布を辿り、アジアと日本の布の現場を訪れつづけた田中優子の待望の「布の本」だ。「江戸から現在へ」というサブタイトルがついているが、そのあいだに各地の職人の手技との出会いが綴られる。一行ずつに「布の愛」がこめられている。田中さんは「着物で講演をするセンセー」としても知られている。よく似合う。『きもの草子』(ちくま文庫)という著書もある。これらを通して、われらが「粋」とは何かを存分に感じてほしい。