【KEY BOOK】「和更紗の文様」(吉岡幸雄著/紫紅社、1296円)
吉岡さんは、ご存知、染司よしおか5代目の当主。東大寺・薬師寺の行事にひそむ伝統色を研究し、天平以来の446色の日本伝統色をすべて再現して今日のものとした。本書はその吉岡さんの和更紗を集めた図録の一冊。ジャワ更紗は室町期に日本に渡来し、安土桃山期に少しずつ世に知られ、徳川時代に長崎・鍋島・京都で独自の工夫で染められるようになった。すぐに浮世絵師たちが注目して絵柄にとりこんだ。このあたりは田中優子の本に詳しい。(編集工学研究所所長・イシス編集学校校長 松岡正剛/SANKEI EXPRESS)
■まつおか・せいごう 編集工学研究所所長・イシス編集学校校長。80年代、編集工学を提唱。以降、情報文化と情報技術をつなぐ研究開発プロジェクトをリードする一方、日本文化研究の第一人者として私塾を多数開催。おもな著書に『松岡正剛千夜千冊(全7巻)』ほか多数。「松岡正剛千夜千冊」(http://1000ya.isis.ne.jp/ )