バルテュス「美しい日々」(1944~46年)_ハーシュホーン博物館と彫刻の庭。(C)Hirshhorn_Museam_and_Sculpture_Garden,Smithsonian_insutitution_Gift_of_the_joseph_H.Hirshhorn_Foundation,1966.Photography_by_Lee_Stalsworth【拡大】
しかも、資産にも恵まれ、いわゆる「売り絵」を生活の糧にする必要もなかった。10年もかけて1枚の絵を納得するまで仕上げていくような豊かな時間や良質感が、画面からうかがえるのももう一つの魅力につながっている。
熱狂的なコレクターが所有しているケースも多く、作品は世界に散逸し、回顧展開催は容易でない。今回は日本初公開の作品が並ぶほか、晩年の四半世紀、他人を入れずに終日過ごしていたアトリエも再現。「居心地のいい空間をバルテュス自身がどう作っていたのか、自然光をどれだけ重視していたのかが、よく分かる」(小林明子学芸員)という。
バルテュスは「自身を語る」で、「美術館に殺到する群集が絵を見るわけがない、本当の出会いがあるはずはない」と述べ、大規模な展覧会には否定的だった。カンバスの裏側に広がる秘密の世界に入り込めるかは、鑑賞者次第だろう。(原圭介/SANKEI EXPRESS)