近寄っても味わえる
対照的に、描かれたものは分かりやすいが、さまざまな画家のこだわり、工夫が詰め込まれているのが、金森宰司氏(64)=新制作協会=の「ライフ『タピストリーのある部屋で』」(洋画)だ。
画面の右から女性の体が斜めによぎる。タピストリーと化粧箱とテーブルの上の静物が左から斜めに交差する、計算された構図。しかも、マチエール(材質感)は、さまざまに変化する。例えばタピストリーの部分にはピンクの絵の具がローラーで施され、織物らしい毛羽だった絵肌ができあがっている。「画面が単なる塗り絵になってしまわないように、離れても、近寄っても味わえる絵にしたい」と狙いを話した。