ここは「長和殿(ちょうわでん)」と呼ばれる棟で、南北約160メートルにわたって部屋が連なる。天皇誕生日と新年の一般参賀で陛下が皇族方と立たれる中央部のベランダ前に移動すると、国賓歓迎行事も行われる「東庭(とうてい)」(1万5000平方メートル)の石畳がガラス越しに見渡せる。
宮殿で2番目に広い「春秋の間」(608平方メートル)に入ると、壁面には部屋名の由来となった「琵琶湖畔の春霞に立つ松」と「秋の霧の中の北山杉」が織物で描かれ、床に「日展三山(さんざん)」の一人である日本画家、杉山寧(やすし)作の「雲」を図案化したカーペットが広がる。神奈川県平塚市の原田百合子さん(72)は「建材といい調度品といい、日本のすばらしさが凝縮されている」と興奮気味だ。