≪みやびやかな「晩餐会」に思いはせ≫
続いて、915平方メートルと宮殿で最も広く、晩餐会では最大158人を収容できる豊明殿(ほうめいでん)へ。32基のシャンデリアが輝き、特別にしつらえられたテーブルには、グラスや皿、フォーク、ナイフなど菊紋入りの食器が整然と並ぶ。晩餐会を思わせる“演出”に、参観者からはため息が漏れる。天皇、皇后両陛下や国賓の席順、部屋名が昔の宮中の饗宴の一つ「豊明節会(とよのあかりのせちえ)」にちなむことを説明されると、みやびさはさらに募る。
さらに宮殿の奥へと進むと、特に重要な儀式・行事が行われる「正殿(せいでん)」だ。松竹梅にちなんだ部屋が並び、最も格式が高いとされる「松の間」(370平方メートル)は、新年祝賀の儀や歌会始の儀、首相や最高裁長官の親任式などに使われ、陛下の「即位の礼」も行われた。ケヤキの板張りの床に菊紋入り「御椅子(おいす)」が置かれたおごそかな部屋で、残念ながら廊下からの見学。職員の「宮内庁職員でも一部しか入れないんですよ」との説明にも納得だ。