圧巻は時化の翌日だった。海岸にはコンブが一夜にして山のように折り重なり、番屋の人がいくら拾っても拾いきれない。数年前、さらに北の千島列島を旅した時、島を囲むあまりのコンブに、舟のスクリューが絡まり身動きできず参ったことがある。赤岩の浜には、そんな海の原風景を彷彿(ほうふつ)させる精気が漂っている。
海岸を眺めていると、朝に夕にヒグマが悠々と歩いてゆく。隣の番屋では犬を放し飼いにしてクマが通るたびに吠えるが、鼻先で吠えられてもまったく無頓着なクマもいる。軽々と岩をひっくり返し、わずか2センチほどのヨコエビを食べたり、暑い日は潮だまりに体を沈め、顔だけ出して水浴びをしている。この最果ての浜は、人にとってもクマにとっても、海の恵みを得る絶好の場であるのだ。
夢と覚悟が
今年一番の夏日。岬寄りの番屋の前には3メートル近いコンブが一本一本丁寧に干されていた。この夏初めてというコンブの天日干しだ。