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歌舞伎座幕見から再び「三人吉三」を思う 長塚圭史 (3/4ページ)

2014.8.19 10:30

朝方涼しいとつい朝寝をしてしまうが、ふらり散歩の果てに歌舞伎座なんていうのも、粋でしょう?=2014年8月2日(長塚圭史さん撮影)

朝方涼しいとつい朝寝をしてしまうが、ふらり散歩の果てに歌舞伎座なんていうのも、粋でしょう?=2014年8月2日(長塚圭史さん撮影)【拡大】

  • 【続・灰色の記憶覚書(メモ)】演出家の長塚圭史さん(提供写真)

 演出の串田和美さんは現代的なアクションを取り込むというよりも、歌舞伎を基盤とした大立ち回りに現代音楽を合わせたいということだったので、稽古の序盤は、権次を演じた尾上松五郎さんによる「歌舞伎立ち回り集中講座」が開かれるようになった。毎日2時間くらいずつ基礎中の基礎から丁寧にレクチャーしてゆくのだ。稽古の序盤は中村屋一門が巡業に回っていたため、稽古場は歌舞伎初心者がほとんどだったので、時間を設けることができた。強面だけれどもどちらかというと控え目な印象の松五郎さんのレクチャーは親切かつ的確。皆熱心に聴き入り、慣れぬ動きを何度も繰り返した。若い役者が多かったこともあってか、稽古時間を過ぎても、マットを敷いて遅くまで練習していた。

 パーカッションと附打だけで

 今度の「三人吉三」の最も大きな挑戦の一つが下座を置かないことである。つまりお囃子は入らず、生演奏はパーカッションの関根真理さんと熊谷太輔さんが日々交代で入り、それから附打(つけうち)の山崎徹さん、あとは録音。録音された音楽なり効果音なりを流すということ自体歌舞伎に於いては極めて稀なこと。しかしコクーン歌舞伎ではこれまで何度か挑戦している。椎名林檎さんのオリジナル曲を流したのが一番有名で、これが前回の「三人吉三」。しかし前回はまだ下座があった。今回は完全にない。

ラディカルな附打に変化

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