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手と指は、目と口ほどに本を読む 手指の使い方が、本をダイナミックにもセクシーにもする 松岡正剛 (1/3ページ)

2014.8.19 11:45

【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)

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 【BOOKWARE】

 手は優しくもあり、雄弁でもある。手には年齢も出るし、個性も出る。手はつねに千変万化するものなのだ。鷲掴みする手、頬杖する手、アイラインを引く手、箸をもつ手、手招きの手、煙草をくゆらす手、キーボードを打つ手、紐を結ぶ手、お詫びの手、扇をあおぐ手、ボールを握る手…。すべて異なっている。詩人の清岡卓行に『手の変幻』という名著がある。手の様相の数々を古今東西から拾って、みごとなエッセイにしていた。

 本と接するときの手と指にも、さまざまな表情や癖が出る。本屋でのことを思い出してもらえばわかるように、一冊の本を書棚から手にとるところから始まって、本を開くとき、ページをめくるとき、そのページをぱらぱら送るとき、本を抱えてレジに行くとき、本を書棚に戻すとき、本をカバンに入れるときまで、実は手と指は機能と表情を頻繁に変えるのだ。それが人さまざまなのだ。

 たとえば、ぼくが書棚から本を取るときは、狙いを定めている場合はたいてい右手を使う。ところが欲しい本を書棚から見いだすために次々に本を手にするときは、左手で本を取ってこれを下から支え、右手で開けて、その右手のままページをすばやく返していく。そのほうが「判定読み」のリズムに乗れるからだ。

ヘレン・ケラー賞をもらった

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