【BOOKWARE】
長らく「心」や「気持ち」や「意識」って何なのか、見当すらつかなかった。そのため妄想や虚言癖や夢遊病はたいていオカルト扱いされた。いや20世紀の半ばまで、心や感情の正体はほとんど掴めなかったのである。それがいまや、その正体のあらかたが「脳」すなわち「神経ネットワーク」や「脳内物質」の動向に依存していると答えるようになった。
それにつれて「自己」や「自分」を演出しているのも脳のせいだということになってきた。脳こそが自己意識だともみなされてきた。
それだけではない。脳のどこかには「買い物する脳」や「化粧する脳」もあって、その分析データをマーケティングにいかす戦略すら取り沙汰されるようになった。ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)技術というものが開発されたのだ。
たしかに、アセチルコリンやドーパミンなどのさまざまな脳内物質(神経伝達物質)の分泌の増減が、われわれの気分や激情や倦怠感に関係しているだろうことは、かなり見当がついてきた。