【BOOKWARE】
最近の中国と日本の首脳関係は、ぎくしゃくしたままである。尖閣諸島付近の海域にも哨戒機が飛び交う航空域にも、緊張がたちこめている。それとともに両国の歴史観の食い違いが目立ってきた。
中国と日本は、風土も言葉も異なる国で、まったく別の歴史を歩んできた。そうなったのは日本海が陥没して、大陸と日本列島が切り離されてからである。だから縄文土器のような土器は、中国には出ていない。それでもその一方で、仏教文化圏・儒教思想圏・漢字文化圏が、軽重さまざまな連なりを見せてきた。ところが近代以降、両国は戦乱と対立の関係に突入し、以来、歴史観に著しい対比があらわれたままになっている。
ここに二つの中国史全集がある。中国歴史学による『中華文明傳真』全10巻と、日本の中国史研究者が1巻ずつを執筆した『中国の歴史』全12巻(講談社)だ。前者は『中国文明史』(創元社)という日本語訳がある。読みくらべてみると、たいへん興味深い。