もっと特徴的なのは、『中国の歴史』最終巻は「日本にとって中国とは何か」になっていて、相互関係から歴史をみようとしていることだ。歴史学としては公平な目であるが、おそらく中国側がこれを読んでも大きな共感は涌かないだろう。
序列から見るヘゲモニー重視型の歴史観と、相互関係から見るハーモニー補充型の歴史観。どちらが説得力があるかではない。二つは21世紀にどう融合できるかだ。(編集工学研究所所長・イシス編集学校校長 松岡正剛/SANKEI EXPRESS)
■まつおか・せいごう 編集工学研究所所長・イシス編集学校校長。80年代、編集工学を提唱。以降、情報文化と情報技術をつなぐ研究開発プロジェクトをリードする一方、日本文化研究の第一人者として私塾を多数開催。おもな著書に『松岡正剛千夜千冊(全7巻)』ほか多数。「松岡正剛千夜千冊」(http://1000ya.isis.ne.jp/)