【BOOKWARE】
ぼくは黒板派だ。子供のころから先生がチョークの粉をツツツーと滑らせ、漆黒から自在に文字や図を浮かび上がらせていくのを見て、うっとりしていた。そこで、自分の講演にもできるだけ黒板を使うようにしてきた。10年続けた「連塾」では畳タテ1畳ぶんの3枚の黒板を次々に動かしながら、裏表をひっくりかえしつつ話をしてきた。この発想は実はルドルフ・シュタイナー(1861~1925)から影響をうけたものでもあった。
シュタイナーにはすばらしい「黒板絵」がたくさん遺されている。その場かぎりのチョークで描いたものが残るなんておかしいと思うだろうが、模写を頼まれた女性画家トゥゲニエフが、あるときから黒い羅紗紙を貼ることを思いついたからだ。おかげでシュタイナーの独特の宇宙観や世界観にもとづく即興ドローイングが後世に伝わることになった。