「早く再開したい。担当の現場は不明者が18人と聞いている。状況がもどかしい」。午前中に待機していた自衛隊員(41)は焦りをにじませていた。その後、再開の指示が出ると、スコップを持った救助隊員らが表情を引き締めて現場に向かった。
「友人がまだ…」
被害が甚大だった安佐南区の八木地区。県営住宅は2階部分が土砂で削り取られ、1階だけが残されていた。重機が入れず、自衛隊や消防が隊列を組んで現場に進み、手作業で土砂を運び出す。近くでは、雨具も着ずにずぶぬれになりながら呆然(ぼうぜん)と崩れた家を眺める男性の姿。脇に立っていた女性が寄り添い肩を抱えていた。
緑井地区では消防隊員ら50人ほどがスコップで泥をかき出し、バケツリレーで搬出していた。「友人がまだ見つかっていない」。自宅の様子を見に来た女性(81)は傘を差しながら涙ながらに語った。