インドネシアの国営銀行や国営石油関連会社などがメーンスポンサーを務めるこの大会は、前述したように政治と切っても切り離せない協力関係にある。地方自治体は大会を招致することで観光PRをし、政治家たちは大会に帯同して地方を遊説して回る。延々と続く政治家たちのスピーチが終わらないと表彰式が始まらないので、レースを終えた選手たちは酷暑のなかで待たされるが、その半面、大会の賞金総額は約1118万円とこの規模のレースとしては非常に大きな額となっている。
スポーツと政治の関係は非常に複雑で、さまざまな意見があるが、この大会の最大の魅力は、スマトラ島に住む多くの住民に愛されていることに間違いないだろう。毎年、沿道はキラキラと瞳を輝かせた子供たちで埋め尽くされる。
≪内間プロ初V 東京五輪へ伸び盛り≫
9ステージで開催された今年の「ツール・ド・シンカラ」。全日程を通して赤道直下、35度前後の厳しい蒸し暑さの中でのレースとなった。
今年から壁のような急坂を登る山頂ゴールが組み込まれたこともあり、高地に住み圧倒的な登坂力を誇るイラン人選手が終始レースの主導権を握り、33歳のベテラン、アミール・ザルガリ(イラン、ピシュガマン・ヤード)が総合優勝を果たした。