オーストラリア南部を中心に、熱帯から亜熱帯にかけてのインド洋と太平洋の広い地域に生息する海の哺乳類ジュゴン。その個体数は約10万頭といわれる。沖縄でもたまに目撃情報があり、8月17日には、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先となる名護市辺野古の東方沖でジュゴンとみられる海獣がヘリコプターから確認された。
南太平洋の島国、ニューカレドニアとバヌアツに、ジュゴンの撮影で訪れたときのことだ。どちらの国にも、ジュゴンが生息していることは知っていた。今までに、パラオやインドネシア、オーストラリアなどで偶然遭遇したり撮影したことはあった。しかし、とてもシャイな性格なので、なかなか写真にしっかり収められない。うまい具合に撮影できたことはなかった。
しかし、この2つの国では、ある海域にとても人懐っこいジュゴンがいて、かなり接近して、というか目の前で一緒に泳ぐことさえできるという情報を得た。そこで両方訪れることにしたのだ。
最初に訪れたのは、ニューカレドニア。首都ヌーメアから車で約2時間半の、町も何もない静かな海岸だ。ここに、1頭のオスのジュゴンが姿を見せる。長いときには1日中、この海岸近くで餌になるウミヒルモという海草を食べたり、遊んでいたりするのだという。