日蓮宗系の尼僧、鈴木日宣(すずき・にっせん)さん=2014年4月2日、千葉県内(伴龍二撮影)【拡大】
私たち僧尼の修行の中に「布施行」があり、その中でも「法の話をする」という最も大切な修行があります。優しく言葉をかけたり、悩みや苦しみの心を救うお話をすることも同じ布施行です。つまり人の心を穏やかにする言葉に心がけ、傷つける言葉は絶対に使わないということ。どんな人もそうした生活を送ることが大切です。
私たちが日常的に使っている日本語は他国の言語に比べとても語彙(ごい)が豊富です。例えば「感動する」という言葉にも「感銘をうける・感極まる・琴線に触れる・心にしみる」などの表現もあります。日本人の精神文化の高さ、心の豊かさが表現力をより一層奥深いものにしてきたのでしょう。人は思いやりや感謝の心を持てば、相手の心を優しくしたり温かくしたり、悦(よろこ)びでいっぱいにする言葉を自然と発することができるはずです。日本語には素晴らしい言葉がたくさんあるのに使わないのはとても勿体(もったい)ない気がいたします。