検疫体制を強化
米国内で広がる不安を受け、米国土安全保障省は8日、ニューヨークのケネディ空港など5空港で、3カ国から到着する乗客に対する特別な検疫体制をとると発表した。パスポートの確認後、他の乗客から離れた場所で、専門のスタッフが症状や感染者との接触の有無を確認する。また当局はテキサス州の製薬会社などと協力して、エボラ出血熱ウイルスに効果が期待される抗体の増産の準備を進めている。来年には本格的な増産に入り、西アフリカでの感染拡大阻止に活用したい考えだ。
一方で、オバマ政権は現段階では、3カ国からの渡航制限には消極的だ。米国内の専門家の間でも「渡航を制限することは西アフリカでの感染拡大という根本的な問題の解決につながらない」との声が出ている。
しかし、リベリア人男性のケースのように発熱などの症状が出る前に渡航し、検疫でも感染者との接触はないとの虚偽の申告をするような場合は、感染の可能性がある渡航者を防ぐことは難しい。このため「現在の体制が抱える問題から目を背けるのは止めよう」として、より積極的な対応を求める声も出ている。(ワシントン支局 小雲規生(こくも・のりお)/SANKEI EXPRESS)