黒田総裁は31日の記者会見で、座席の前に追加緩和の内容を図解したボードを立て、身ぶり手ぶりを交えてそう説明した。
黒田総裁は就任直後の昨年4月、国債などを買い入れて、市場に大量のお金を流す大規模金融緩和を始めた。その結果、円安ドル高が進み、株価も上昇。アベノミクスの“第1の矢”は見事に成功し、市場の信認を得た。だが、このところ経済指標は弱含んでいる。31日公表の9月の経済指標では、有効求人倍率が3年4カ月ぶりに悪化したほか、1世帯当たりの家計消費支出が6カ月連続のマイナス。自営業などを除くサラリーマン世帯の実収入も12カ月連続で減少した。総務省は「消費税増税による実質賃金の低下が原因」と分析した。
増税分を除く物価上昇率(生鮮食品除く)も今年4月に前年比1.5%に上昇したが、その後は増税後の需要減に加え、原油安などが響き物価の伸びが鈍化。9月は1.0%ちょうどと1%割れも危ぶまれる。
日銀は、今年度後半から2%に向けて回復していくと主張。黒田総裁も7月の記者会見で「1%を割る可能性はない」と自信満々で語っていたが、1%を切る事態に追い込まれれば、黒田総裁の発言は信頼されなくなる。