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認知症患者に本は必要か? 幅允孝 (4/5ページ)

2014.11.4 16:20

さやのもとクリニックのライブラリー(幅允孝さん提供)

さやのもとクリニックのライブラリー(幅允孝さん提供)【拡大】

  • 【本の話をしよう】ブックディレクター、幅允孝(はば・よしたか)さん(山下亮一さん撮影、提供写真)

 思い出さないのもまたいい

 認知症の予防や進行抑制の方法として回想法というものは確かにある。僕も素人ながら何冊かそれに関する書物も読んだし、それをやっている現場も見せていただいた。だが、僕が気になったのが、懐かしの写真を教科書的に配置した回想法のテキストブックを患者さんに見せ、何も思い出せなかったときに漂う落胆感がどうしても腑(ふ)に落ちなかったのだ。何かを思い出すことを目的化した時点で、それは愉しい読書ではなくなる。僕は、それとはまったく逆のアプローチ、つまり「何かを思い出すのもいい」けれど、「思い出さないのもまたいい」というスタンスで本を手に取ってほしかった。思い出や記憶は強要されてコントロールできるたぐいのものではない。そして、本はあくまでも、読み手の気侭(きまま)さにぴたりと寄り添っているくらいがちょうど似合うと僕は考えるからだ。なぜなら本は、待ってくれるものだから。

 今回の本棚では、もうひとつ本だからこそできることに僕は気づいた。それは、本をめくる手は止めることができるという点だ。当たり前と思われるかもしれないが、これが映像では難しいのだ。

 映像は視覚に強く訴え、そこに集中させるゆえ、特別養護老人ホームなどではテレビでの映像を流しっぱなしにすることがあると聞いた。もちろん夢中になるということは徘徊(はいかい)などのリスクを軽減することにつながる。

患者家族のストレスアウトも

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