首相は閣僚について、衆院選の公示前から全員再任する方針だった。江渡氏の政治資金問題も「十分乗り切れる」(官邸筋)と判断していたが、選挙後に江渡氏が「安保法制の国会審議で迷惑をかけらない」と再任を固辞、首相も受け入れざるを得なかった。政府高官は「江渡氏の親族が猛反対した」と打ち明ける。
当面の国会審議を乗り切る算段は付いたが、首相はさらにその先を見据えている。来年9月に任期満了を迎える自民党総裁選だ。党内で首相に対抗する動きは今のところ見られないが、首相周辺は「通常国会終盤の来年夏の情勢次第で、名乗りを上げる人が必ず出てくる」と警戒する。
半年以上先の景気状況は見通せない上、安保法制の国会審議で内閣支持率を落とす可能性もある。時の首相が少しでも隙を見せれば足を引っ張り、あわよくばその座を奪おうとするのは政界の常。首相が「芽が小さいうちに不穏な動きは封じる」と考えるのは不思議ではない。