【KEY BOOK】「えびす信仰事典」(吉井良隆編/戎光祥出版、15120円)
やや大きな本だが、エビスさまのことなら何でもわかる事典だ。だが安易ではない。エビス信仰、ヒルコ信仰、事代主神との関係、夷三郎伝説、百太夫伝説、みんな扱っていて、しかも本格的だ。ぼくが嬉しかったのは瀧川政次郎、喜田貞吉、宮本常一の過去の名論文から鈴鹿千代乃や吉井良隆の話題の論文が採録されていたことだ。一般読者には全国のえびす講と民俗祭事がずらりと案内されていることだろう。この本が入手できずとも、十日夷には行きなさい。
【KEY BOOK】「七福神・信仰の大いなる秘密」(久慈力著/批評社、1944円)
七福神ほど変な謎が多い神さまセットはない。恵比寿を除いた6神すべてがインドや中国の神々で、その恵比寿ですら複数のルーツをもっている。本書はそのエビス・ルーツをさらに海外にまで求め、ついにユダヤ神と結びつけた。七福神が乗り合わせている宝船も謎が多い。京都の御陵神社の宝船の絵にはムカデと隠れ笠が描かれているのだが、その正体がいまだわからない。この著者には東北の蝦夷を探求した好著もある。