【KEY BOOK】「ヒルコ・棄てられた謎の神」(戸矢学著/河出書房新社、1836円)
あまり知られていないようだが、日本のアダムとイブに当たるイザナギとイザナミが最初に生んだ子がヒルコ(水蛭子)で、次に生んだのがアワシマ(淡島)だった。いずれも水子に近く棄てられた。ヒルコは葦舟に乗せられて海上に流された。アマテラスやスサノオがイザナギによる禊(みそぎ)から生じたのはそのあとだ。ヒルコ伝説は調べていけばいくほど奥が深い。本書はその多様な謎をよくぞ追跡した。同じ著者の『ツクヨミ』とともに愛読した。(編集工学研究所所長・イシス編集学校校長 松岡正剛/SANKEI EXPRESS)
■まつおか・せいごう 編集工学研究所所長・イシス編集学校校長。80年代、編集工学を提唱。以降、情報文化と情報技術をつなぐ研究開発プロジェクトをリードする一方、日本文化研究の第一人者として私塾を多数開催。おもな著書に『松岡正剛千夜千冊(全7巻)』ほか多数。「松岡正剛千夜千冊」(http://1000ya.isis.ne.jp/)