イワンの兄、ヤコフ・カンチュガも4年前の冬、ビキン川の氷をスノーモービルで踏み抜き、亡くなってしまった。2人ともまだ60代。精気にあふれ、リーダー格の猟師として一線に立っていた時の遭難である。きっと存命ならウデヘならではのやり方で、ビキン川とタイガの魅力を伝え続けていただろう。そうと思うとつくづく残念でならない。タイガの自然とは、恵みを与えてくれる一方で何と容赦ないものだろう。
初めて兄のヤコフの家にお邪魔した時、古い写真を見せてもらったことがある。そこにはタイガを伐採から守る先祖の姿やビキン川での砂金堀り、昔の船着き場の風景などにまじって、若き日のイワンとヤコフのクマ狩りの写真があった。残雪のタイガで大きなクマを仕留めた兄弟は若く誇らしげだった。色あせた写真からも2人のタイガへの親近感がひしひし伝わってきたものだ。
イワンとヤコフが亡くなった今、その写真を見ると、さまざまな思いが交錯する。