ヨンドゥは、2013年から水戸での展覧会を用意する中で、マッサージ師の白鳥建二さんと出会った。白鳥さんは、全盲でありながら、自分の生活を毎日、写真に撮り続けている。
ヨンドゥは白鳥さんの、自分では見ることができない記録をとり続けている行為に感銘を受け、白鳥さんの写真とピアニスト・小曽根真の曲を組み合わせた作品「ワイルド・グース・チェイス」も制作し、展示している。
見たいもの、見たくないもの
こうした映像作品を通して、ヨンドゥが問いかけているのは、夢とは何か、現実とは何か、見えるものとは何か、見えないものとは何か、ということだろう。私たちは、見たいもの(夢)を見ているだけで、見たくないもの(現実)から目を背けているだけなのかもしれない。やがて人間は、バーチャルな世界と現実の世界の“2つの人生”を生きるようになるとの未来予測もある。