日蓮宗系の尼僧、鈴木日宣(すずき・にっせん)さん=千葉県内(財満朝則撮影)【拡大】
≪十善積み 人のために生きる人生を≫
あるお経の中に次のようなお話があります。「雪山(せつせん)のふもとに寒苦鳥(かんくちょう)という鳥が住んでいました。この鳥は巣を持たず、夜になるとあまりの寒さに『明日は必ず巣を作ろう』と鳴くのです。しかし太陽が出て温かくなるとすっかり寝てしまい、また夜の寒さに責められては『明日こそ巣を作ろう』と鳴いて一生を終えてしまうのです」と。
皆様も身に覚えがありませんか。「明日はこうしよう」と何かを決心しても、翌日にはその決心もにぶり、結局できずじまいになってしまったということが。私たちの心はとても弱く、この雪山の寒苦鳥のように「明日こそ」と思いながら何もできずに一生を虚(むな)しく過ごしてしまうものです。
日蓮聖人は「人間も寒苦鳥と同じである。地獄に堕(お)ちて炎にむせぶときは『もし今度人間に生れたら諸事を閣(さしお)いて仏様の教えに従って善業を積もう』と願うけれど、たまたま人間に生まれて来るときはそんな願いも忘れ、財産や社会的地位を追い求めることに一所懸命になり、善業を積もうとはしないものだ」と仰せになりました。