全人代の開幕を控え、北京の人民大会堂周辺を警備する武装警察隊員=2015年3月4日、中国・首都北京市西城区(共同)【拡大】
≪軍拡堅持 米とのバランス逆転狙う≫
中国政府は4日、2015年度の国防費が前年度実績比約10%増になると表明した。8900億元(約17兆円)程度となる見通し。米国に次ぐ世界第2の経済大国の中国は経済が減速しているが、軍拡路線は堅持する姿勢を鮮明にした。国防費抑制を迫られる米オバマ政権を尻目に、習近平指導部は東・南シナ海で「野心的で挑発的」(軍事専門家)な活動を推進。将来的にはアジア太平洋地域での米中軍事バランスの逆転を狙う思惑だ。
南シナ海埋め立て加速
「南シナ海に根を下ろし、南シナ海を防衛し、南シナ海で貢献する」
2月、中国南部の海南島の軍事管理区域内にある山の中腹には海軍のスローガンが大きく掲げられていた。海南島は南シナ海を管轄する南海艦隊の海軍基地がある軍の要衝。多くの観光客でにぎわう海水浴場のすぐ近くには、威容を誇るように軍艦が停泊していた。
習指導部は12年11月の発足後、ベトナムやフィリピンなどと中国が領有権を争う南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で岩礁の埋め立て作業を加速している。