東松島市に来たとき、「一緒に頑張ろう」と被災者と言葉を交わした。裏切ることになったことをわびるため、知人ら約30人に挨拶に回った。返ってきたのは厳しい言葉ではなく、逆に「それがいい」と背中を押された。それも気が重かった。なんと声をかけてもらいたかったのだろう。いまだに分からない。
「本当は東松島に残りたい」と話す彩さんだが、被災地で子供を産み、育て、復興に携わる日々は、現実には厳しかった。
出生総数も減少
10年の岩手、宮城、福島の3県の出生総数は4万5002人。13年は約2300人減の4万2726人となった。
死者・行方不明者3972人(2月末現在)と、被災自治体で最大の人的被害を受けた宮城県石巻市。10年に1104人だった出生数は、震災の起きた11年に986人と激減した。12、13両年は1000人をわずかに超えた。10年9月には16万3216人だった人口も、今年1月末は14万9687人に。特に11年の転出者数は9014人で、12、13両年も5000人弱が転出。転入などを差し引いても、年間1000人近く人口が減っていることになる。