【BOOKWARE】
いまITネットが劇的におこしつつある一部始終の出来事は、ひょっとしてわれわれの外側に「脳」みたいなものをつくっているのだろうか。もしそうだとしたら、そこに経済も欲望も知識も飲み込まれていくことになる。友達も買い物も書物も音楽も性欲も、みんなネットが吸い取っていくことになる。
さあ、このままでいいのですか、何かを熟考すべきじゃないですか、だったらどうすべきなのですか、という議論がこのところ囂(かまびす)しい。
残念ながら、まだ三つのことがわかっていない。第1には継続的デジタルメディアの使用がもたらす神経生理学的な影響がどういうものなのかということ、第2にネット検索に頼ることやネットで読み書きしていることがわれわれの学習能力や推理能力にどのくらいのダメージを与えているのかということ、第3には商品と市場がどのくらいネットに巻き込まれていくかということだ。
グーグルやアマゾンを敵視して過剰な批判を発している見解を除いたとしても、これらの問題がややギリギリのところに来ているということは確実だ。