【笑顔のアスリート学】萩原智子さん。1980年4月13日、山梨県生まれ。身長178センチの大型スイマーとして、2000年シドニー五輪女子200メートル背泳ぎ4位、女子200メートル個人メドレーで8位入賞。02年の日本選手権で史上初の4冠達成。04年にいったん現役引退し、09年に復帰。子宮内膜症、卵巣嚢腫(のうしゅ)の手術を乗り越え、現在は講演、水泳教室やキャスターなどの仕事をこなす=2007年7月17日(提供写真)【拡大】
スタート前に力になるのは、それまで一生懸命に積み上げてきたトレーニングだ。どれだけ自分に自信になる練習ができたか。練習でできないことは、レースでは絶対にできない。いくらレース当日に気合を入れても、それまで培ってきたものがなければ、空振りに終わってしまう。普段の練習からコツコツと積み上げていくことによって、スタート台に自信を持って立つことができる。これは当たり前のことだ。
しかし、どんなにいいトレーニングができても、不安になることは多い。レース前に不安が消えないのであれば、信頼できる人に不安だと素直に愚痴をこぼせばいい。怖ければ涙を流せばいい。アスリートだって、人間なのだから。
弱い自分も認める
アスリートだから弱みを見せるなという人もいる。ましてやレース前に弱みを見せれば、負けたのも同然だといわれた経験が私にはある。しかし極限の状態で心にたまった不安を払拭することは、そう簡単なことではない。一人で考え込むより周囲へ相談し、心の重みを取り除けばいい。自分の中にため込まず、周りの人に話を聞いてもらうだけで不思議と心がスーッと軽くなる。