孤独を引き受ける登場人物たちのたたずまいは強く美しい。「1人でいられるタイプの人間が好きなんです。特にそういう女性を描きたいという思いがいつもある」=2015年2月18日、東京都文京区(斎藤浩一撮影)【拡大】
「『何これ!』という感じでしたよ。新連載も始まったり、自分のことだけでいっぱいいっぱいなのに、火事の後始末をしなければならないし、両親の容体は悪くなる一方で…」
09年3月に父親が死去。全焼した自宅の建て直し、実家の解体や遺品整理…さらには母親が足を切断することに。
「しまいには自分も骨折してしまって。一つ一つは誰しもが経験しなければいけないようなことなのですが、それが一気にやってきてしまった。誰にも頼れない、自分で乗り越えるしかない状況でした」
11年1月に、母親を看取る。「寂しいものですけれど、親を看取ってどこかけりがついたような気持ちでした。人が病んで、老いていく過程をつぶさに見た。『見届けた』という心境です。もちろん喪失感はありますが、同時に貴重な経験でもある。そういうことを通り過ぎた分だけ、描写力や表現形式が進化したとも思います」