孤独を引き受ける登場人物たちのたたずまいは強く美しい。「1人でいられるタイプの人間が好きなんです。特にそういう女性を描きたいという思いがいつもある」=2015年2月18日、東京都文京区(斎藤浩一撮影)【拡大】
書くことで自分を救済
本作のうち、最後の3編は母親を見送ってから書かれたもの。20年間暮らした山間のペンションを畳む女へ訪れる思わぬ出会い(「テンと月」)、事故で片手を失った男が義母の葬式で振り返る濃密な秘密(表題作「千日のマリア」)、介護士として働く50代の女が抱く痛いほどの孤独(「凪の光」)…。トーンこそ違えど、いずれも清らかな読後感をもたらす。
「人生は悲しい、むなしいだけでない。どんな人生でも最後に光が見えるような、自分自身を高みに登らせるようなものを書きたかった。書き続けることで、自己救済をしていたのでしょう。絵や音楽もそうでしょうが、創造的な作業というのは、自分を救うために存在している。もちろん書くことは苦しい作業ですが、虚構の中に、自分のくすぶっている思いを抽象的に託しているのだと思います」
本作では、自分の孤独を見つめ、引き受けようとする女性が印象的に描かれる。「私、孤独との向き合い方が女性の人格の深度を決めると思ってるんです。孤独といっても、1人ぼっちだとか、飲み友達がいないとかいう表層的なものではない。年を取ると、分からないことが増えていくんですね。見えるものは多くなりますが、それだけに解決方法が分からないという不条理感が蓄積されていく。不条理を受け止めて、次へ進む力が必要なのではないでしょうか」