高浜原発3、4号機の再稼働差し止めの仮処分決定を受け、垂れ幕を掲げ喜ぶ申し立て住民ら=2015年4月14日午後、福井県福井市・福井地裁前(共同)【拡大】
昨年5月大飯でも
「原発事故の危険性が万が一にもあれば差し止めが認められるのは当然だ」
樋口裁判長は昨年5月の判決で、大飯3、4号機の再稼働を差し止めた理由をこう述べた。原発の安全性に関する判断には「必ずしも高度の専門的な知識を要するものではない」とも言及。生命や身体、名誉など個人が生活する上で保護されるべき権利を指す「人格権」を根拠に、原発のゼロリスクの証明を迫った。
今回の仮処分決定も基本的な判断枠組みは同じだ。決定はさらに、新規制基準については「深刻な災害を起こす恐れが万が一にもないといえるような厳格な内容を備えているべきだ」と指摘。「新規制基準は緩やかすぎ、適合しても安全性を確保したとはいえない」とまで踏み込んだ。人格権は憲法13条などが保障しているが、訴訟では主に、出版物の差し止めや近隣住民の騒音の差し止めをめぐって侵害の有無が争われてきた。それゆえ人格権を原発を動かさないための理由にする判決や決定の論理構成には、異質さが際立つ。