高浜原発3、4号機の再稼働差し止めの仮処分決定を受け、垂れ幕を掲げ喜ぶ申し立て住民ら=2015年4月14日午後、福井県福井市・福井地裁前(共同)【拡大】
「司法の暴走」
「福島第1原発事故の教訓をもとに行政庁と電力会社が積み上げてきた科学的議論を、先入観をもとにした無見識な判断で全て否定した。司法の暴走としか言いようがない」
大阪大の宮崎慶次名誉教授(原子力工学)は福井地裁決定を痛烈に批判した。
樋口裁判長は大飯3、4号機の訴訟と今回の仮処分で、いずれも原子力専門家の証人尋問を回避。関電側が慎重な議論を求めたにもかかわらず、通常5年以上はかかるとされる訴訟の判決を約1年3カ月で言い渡し、仮処分についても約4カ月で決定を出した。
脱原発弁護団全国連絡会(東京)によると、運転差し止めなどを求めた訴訟や仮処分申請は現在、全国で20件以上ある。ただちに効力が生じる仮処分で運転を認めない決定が続けば、司法が再稼働を阻む新たな「壁」になりかねない。
宮崎名誉教授は「司法が三権の一つとして自ら判断を下すのであれば、裁判官は専門家の意見にも耳を傾けるべきだ。机上の裁きを続ければ、司法の権威を損なうことになりかねない」と訴えている。(SANKEI EXPRESS)