高浜原発3、4号機の再稼働差し止めの仮処分決定を受け、垂れ幕を掲げ喜ぶ申し立て住民ら=2015年4月14日午後、福井県福井市・福井地裁前(共同)【拡大】
最高裁判例踏襲せず
従来、原発訴訟で有力な判例とされてきたのは、四国電力伊方(いかた)原発1号機の設置許可に先立つ安全審査の是非が問われた1992年の最高裁判決だ。
判決は設置許可には「最新の科学的、専門技術的知識に基づく総合的な判断が必要だ」と判示。安全対策はあくまで専門知識のある行政の判断が尊重され、司法はその判断に不合理な点があるかどうかを審査するとした。
このため、原発訴訟では安全性の判断にまで踏み込む判決は少数だった。これまでに運転差し止め訴訟で住民側が勝訴した例は、2006年に北陸電力志賀原発2号機の運転停止を命じた金沢地裁判決と福井地裁判決の2件しかなく、金沢地裁判決は上級審で結論が覆った。