毎日、アートになりうるかもしれない光景を探すのは困難を極める。当然、出来の悪い作品だらけとなるのだが、この日も「今日は何もないと」と焦っていた。ビールを飲んで気を紛らわしているうちに、ふとコップを食卓の電灯に照らしてみた。光源を少しづつずらしていくと、陰影のついた面白い光景が浮かび上がった=2014年3月18日、iPhone4sで(野口隆史さん撮影)【拡大】
スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」を使い始めて実はそれほど年数は長くない。今年でまだ3年目だ。
私自身、プロカメラマンとして札幌市を拠点に撮影の仕事をしているのだが、仕事以外で写真を撮ることは滅多になかった。ところがiPhoneを手にするようになってから、日々の出来事をフェイスブック(FB・インターネット交流サイト)にアップするために一日に何回も写真を撮るようになった。何を料理したとか、今どこで何をしているとか、幼い娘の表情がどうだとか…。たわいもない日々の身辺雑記でしかないのだが、ついついシャッターを押してしまうのだ。
一番の理由は、やはり気軽にさりげなくちょっといい写真が撮れるからだろう。一眼レフで撮影しようとしたらこうはいかない。私自身、iPhoneで写真観が変わってしまった一人なのかもしれない。
撮影しているうちに「iPhoneで面白いことができないかな?」と考えるようになった。私は普段、どちらかといえばスポーツやコンサートなどニュース系をメーンに撮影している。
だからだろうか、普段とは違う、自分の不得意な分野、つまり自分の未開拓分野の写真を撮ってみたいと思うようになったのだ。それはアートだった。