【KEY BOOK】「世阿弥の稽古哲学」(西平直著/東京大学出版会、3240円)
世阿弥や能についての論評はたいへん多いが、あまり入門書に頼らないほうがいい。それよりは何度も能楽堂に足を運ぶべきだ。むろんおもしろい本もある。堂本正樹・観世寿夫・渡辺守章などは読みごたえがあった。本書は最近の著作で、井筒俊彦の『意識と本質』に触発された著者が、世阿弥がのめりこみたかった「際」に分け入った。どちらかというと禅の極意から能の醍醐味を掴もうとしているようで、菩薩道としての能が浮上していた。(編集工学研究所所長、イシス編集学校校長 松岡正剛/SANKEI EXPRESS)
■まつおか・せいごう 2000年、インターネット上にイシス編集学校を開校。コースは「守」「破」「離」他。とくに「守」は85%の修了率を誇る。延べ3万人の生徒を送り出し、500人の師範代を育てる。生徒は年齢も職業も多様、最年少14歳、最高齢80歳。「松岡正剛千夜千冊」(http://1000ya.isis.ne.jp/)