南北戦争前に建設が始まったプランテーション・ハウス「ロングウッド」は、開戦とともに職人が北部に帰ってしまったため2階より上層階はいまも未完のままだ=2015年3月19日、米ミシシッピ州ナッチェス(川口良介撮影)【拡大】
しかし主人公のスカーレット・オハラもそうであったように、農園主たちの華麗な生活は、黒人奴隷の労働力の上に成立していた。その黒人奴隷の過酷な生活を伝えるため、敷地内には奴隷小屋や当時の写真などが展示されている。
そこに、この農園で唯一解放されたゼフィールという奴隷の話が紹介されていた。妻と息子たちとともに連れてこられた彼は、農園主の母親の遺言により長い奴隷生活からついに解放される。そして残された家族を解放するため彼は農園に残り、給料をもらいながら働き続けた。10年後、彼は自分の妻を350ドルで購入し取り戻す。ゼフィールが70歳、妻が60歳の時のことだ。だが子供は奴隷として残され、自身も高齢のため働くことが難しくなったこともあり、結局農園からは出ずに一生をここで終えたという。
技術スタッフとして館内で働くゲイリー・ドーフィンさん(54)は「私たちの使命は来館者に歴史を伝え、過去の出来事から新しい知識を学んでもらうこと。奴隷制度や南北戦争、サトウキビ栽培など、今の生活とは違うものを見て、何かを吸収してもらえたらうれしいですね」と話した。