【BOOKWARE】
イスラム関係の本は200冊か300冊を読んできた。最初はイスラム教って何なのだろうかと思い、そのうちモスク建築やカリグラフィックデザインやアラビア数学やスーフィズムの独創性に惹かれ、それから歴史家イブン=ハルドゥーンや旅行家イブン・バトゥータを読み、ついで『クルアーン』や『アラビアン・ナイト』(千夜一夜物語)に目を通した。そのあいだに、マホメットはムハンマドと、コーランはクルアーンと日本語表記が変更されるようになっていた。
その後、カリフ制度の絶対性を知り、「知恵の館」がおもしろくなり、独特の利子システムをもつイスラム経済が気になると、なぜ周辺民族がことごとくイスラム化していったのか、いったいウマイヤ朝、アッバス朝、モンゴル帝国、中国の元朝、ティムール帝国、オスマン帝国とは何だったのか、どうしてマリ帝国やスンニ朝やムガール帝国ができたのか、あれこれ気になってきた。イスラム国家というもの、その土地領域ごとに王朝が換骨奪胎されるのだ。そんな関心が募ってきた頃、イスラム過激派が次々に名のりを上げるようになったので、ぼくのイスラム熱もリアルな沸点に直面させられた。