「イスラーム」とは唯一絶対の神(アラビア語でアッラーフ)を信仰し、最後の預言者ムハンマドを通して下された聖なる『クルアーン』の教えに従うことをいう。神への奉仕を重視し、偶像崇拝を禁じ、ウンマ共同体の信徒(ムスリム)どうしの連帯感を優先する。世界に16億人がいる。
ムスリムは信仰と行為を強靱に結びつけてきた。六信は神(アッラー)、天啓(マラーイカ)、啓典(クトゥブ)、使徒(ルスル)、来世(アーヒラ)、定命(カダル)、五行は信仰告白(シャハーダ)、礼拝(サラー)、喜捨(ザカート)、断食(サウム)、巡礼(ハッジ)だ。16億人のムスリムがこれらの誓いを徹底して今日にまで守ってきたのは、世俗化が著しいキリスト教や仏教などに較べ、驚くべきことだ。
しかし一方、イスラム史は波瀾万丈なのである。とくに4代カリフのアリーを境いに、カリフはムハンマドの子孫であるべきだというシーア派と、カリフは互選されるべきだというスンニ派が対立したのが大きい。これはシーア派イランとスンニ派サウジアラビアの大対立から、各地の集団の小対立にまで及んだ。宗教的な対立ではない。ガバナンスの違いだ。それでも両派ともに聖戦(ジハード)を辞さないのは、そもそもムハンマドが聖戦によって「信仰の社会化」をもたらしたからだった。