【KEY BOOK】「イスラームの歴史」(全3巻、ジョン・エスポジト編、坂井定雄監訳/共同通信社、各4104円)
オックスフォード版のイスラーム史集大成である。3冊すべてが図版も豊富なので、全貌が通史的に見える。イスラム史を知ると、西洋中心の世界史の流れが一変する。世界を西アジアと中東をコンパスの中心にして眺められるからだ。とくにモンゴル、トルコ、マグリブ(北アフリカ)、イベリア半島、東欧の歴史観が一挙に立体的になる。宮崎正勝の『世界史の誕生とイスラーム』などを併読するとよい。
【KEY BOOK】「イスラム経済論」(加藤博著/書籍工房早山、2948円、在庫なし)
何冊かを通してイスラム経済社会の構成や特色を見ていたが、本書がやっと蝶番(ちょうつがい)をわからせてくれた。リバー(利子)の禁止の意味、シャリーア(イスラム法)が決めた無利子銀行のしくみ、銀行が顧客から預かった資金を分配するムダーラバ、銀行と顧客が共同経営をするムシャーラハ、銀行が顧客に代わって商品購入をするムラーバハ、リースをつかさどるイジャーラなど、興味深い。21世紀資本主義が学ぶ点も少なくない。