今年の梅雨はずいぶん肌寒いねえ…などと話していたら、いきなり夏が来た。暗鬱な雨と雲ばかりで、少々滅入(めい)るような空が、一転してからりと晴れ上がったのは11日の土曜日だった。鎌倉祇園として知られる「大町まつり」の初日でもある。
梅雨明けはまだとはいえ夏はまさしく、まつりとともにやってきた。しかも、市内の西方に連なる低い山の向こうに日が隠れるころになると、海からの風がさっと吹き抜ける。昼の暑さとは対照的な夕暮れのこの心地よさ。
まだ明るさの残る大町の八雲神社境内から「大」の字の提灯(ちょうちん)をずらりと掲げた神輿(みこし)が町に繰り出す。
平安時代の後三年の役で兄の八幡太郎義家を助けるため、東北へ向かう途中の新羅三郎義光が、鎌倉に立ち寄る。このとき疫病がはやっていたので京都の祇園社の祭神をここに遷し、悪疫を退治したという。
このため、大町の八雲神社はかつて祇園天王社と呼ばれ、いまも「鎌倉の厄除(よ)けさん」として知られている。午後7時からの「神輿ぶり」は休憩時間をはさんで約2時間、4座の神輿が周辺の町を回る。担ぎ手はそろいの法被姿。地元の人だけでなく、公募もしているので外国人や女性の姿も見られ、何だか楽しそうだ。見ている方もうきうきしてくる。